成安造形大学
2018年、春 情報デザイン領域始まる。
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情報デザイン領域

グラフィックデザイナー 嶋口智洋

  1. SCENE 1
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  3. SCENE 3
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SCENE 1

自分の考えや思いを伝えられる、プレゼンが一番楽しい。

株式会社日本デザインセンターの第5制作室に、デザイナーとして勤務しています。本社は東京なんですが、第5制作室は名古屋にあって、ここではトヨタ自動車の仕事を中心に行っています。僕は主に自動車ディーラーに行くともらえるカタログやセールスプロモーションのツールを担当しています。2017年のVitzのカタログは、写真のディレクションから、書体選び、レイアウト、文字詰めなどの細かい作業まで、デザインに関する部分は全てひとりでやっています。

僕は4年前に中途採用で入社したんですが、最初はトヨタのセールス・プロモーションのツールなどをデザインしてました。3年経って、やっと任せてもらえた大きい仕事がこのカタログでした。

車は車種ごとに、大なり小なりマイナーチェンジを繰り返していて、変わるごとにカタログをつくり直しています。数ページの改定で済むこともあれば、一冊まるごと制作することもあります。新規で撮影する時は大変なことも多いですが、スタジオだけでなく全国のいろんな場所に行けるロケ撮影もあるので、面白いです。当たり前ですが、車って鉄や皮だったり、いろんな素材が混じりあっています。写真のテイストにしてもその質感をそれぞれ的確に伝えてあげる意識を忘れずに。店頭にあるPOPやポスター、チラシなどは別の人が制作することが多いのですが、車種の持つ雰囲気やトーンは、このカタログから発信されるので、自分のつくった素材が様々なツールに影響すること、全国に出回ることの嬉しさはありますね。

関わる人も多いので、クライアントへのプレゼンが大変ですが、実際のところプレゼンが一番楽しいです。自分の考えや思いを最初に話せる数少ない場所なので。そこで先方にハマってもらえたら最高です。企画が通ってしまえば、あとは設計図ができているので、それをつくり上げるだけ。常に楽しい撮影やデザイン作業が待っているだけですから。

何の仕事もそうだと思うんですが、仕事の知識、モチベーションは大事で、僕自身それまで興味のなかった車についてもすごく好きになってます。でも、その上で、デザインをする時は対象を客観的に見なくてはいけない。僕自身、極端ですが、デザインする対象は車でもファッションでも食べ物でも実は何でもいい、というか何でもやりたいと思っています。これしかできないとなるよりは、いろんなことができる方がいいですし、自分のやりたいことだけをやるのではなく、商品やお客さんのオーダーがあってのデザインであると思っているので。まあ、そこと自分のやりたいことが合致すると一番楽しいんですけどね。決められた条件や環境があるなかで、いかに自分を出してやるか、ということがやりがいになっている気がします。

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SCENE 2

大学で知ったグラフィックデザインの世界。縁あってデザインの道へ就職!

実は昔からデザイナーを目指してたわけではなく、成安造形大学を受験する際にはイラストレーションクラスを志望していました。実際に進んだグラフィックデザインクラスは第2志望。大学生の時も、課題だけをやっているタイプで、それ以外は学生会などに所属して、割とよく遊んでいたと思います。それでも、いろいろと知識が増えてきて、やっとグラフィックデザイナーという職業への憧れが芽生えて、たくさん調べるようになったのが4年生の時です。

卒業後、大阪の小さなデザイン事務所での勤務を経て、成安造形大学の卒業生が経営していた、京都の株式会社アーテファクトリーに就職。文化財の保存と活用、デジタルアーカイブなどの事業を行う会社でした。デザインを専門にしている社員は当時おらず、社長は「デザインの仕事はこれまであまりしていなかったけど、嶋口くんが来てくれたのでデザインの仕事を考えてみよう」と言ってくださったのを覚えています。滋賀県にある国宝の三井寺など、会社とのつながりも深かった、お寺関係の仕事などを担当することになるんですが、社会に出て、運良く早い段階でデザインの仕事に関わることができたのは本当に嬉しかったですね。

とはいえ、その時点では僕にデザインの知識や経験が豊富にあったわけではなかったので、自分で独学で調べながら必死にやってました。

お寺のイベントのチラシのデザインなら経験があったんですが、お寺のライトアップのイベントで販売するオリジナルのチョコレートのデザインを、パッケージだけでなくチョコレートの形から考えたり、着ぐるみの制作会社を調べるところから自分で行い、三井寺のゆるキャラをデザインしたり、初めての経験ばかりでした。他にも三井寺の境内にある梵鐘と霊泉の湧水をイメージした、水につけると文字が浮かび上がる「三井寺鐘みくじ」のデザインもアイデアから考えました。とにかく自由な社風で「まず自分で考えてやってみろ」というスタンスでした。

アイデアをいろいろと考えることはデザイン的な思考の鍛錬になりましたし、和のデザインというのは自分の興味のある分野だったので、高いモチベーションで取り組むことができました。グラフィックデザインの仕事はもちろん、プロダクトデザインの仕事も結構ありましたが、なにしろ会社にデザイナーは僕ひとりだったので、自分で試行錯誤してやるしかなかったというのもあります。ここでの豊富な経験は、今も本当に財産になっています。

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SCENE 3

死ぬまでデザイナーとして働くことが目標なので、若いうちに体力をつけたい。

大学でグラフィックデザイナーの仕事に魅了されたその日から、日本デザインセンターの仕事は大好きでいつもチェックしていました。亀倉雄策、原研哉、そして、成安造形大学「キャンパスが美術館」の『JAGDA新人賞』展で、作品を目の前で見た大黒大悟といった、いずれも日本デザインセンターに関係するデザイナーのファンになりました。特に僕は和のデザインに興味があったので、大黒さんの「椿山荘三重塔 起工式法要」が好きでした。シンプルでエレガントな文字、絶妙な間の取り方も参考にしてました。当時ここには自分が好きなデザイナーがいっぱいいるなあとか思ってましたね。まさかその時に憧れていた会社で今自分が働いているなんて…。

京都のデザイン事務所で3年が過ぎた頃、ステップアップしたいと言ってしまうとそんなにはっきりと単純なものではないんですが、欲が出たというか、もっともっと多種多様なデザインにおけるプロセスを経験したいと考えるようになりました。「死ぬまでデザイナーとして働く事」が僕の目標なので、若いうちにいろんな物事に対応できるような力をつけたかったというのもあります。自分でデザインした作品も増えてきたので、記念と挑戦の意味も込めて、憧れの日本デザインセンターの入社試験を受けました。それが、なんと採用となったんです。

25歳の時に転職して、今4年目になります。まだまだたくさんやりたいことはありますが、どちらかというとグラフィック、印刷物のデザインにこだわりたいと思っています。本もつくりたいし、アートディレクターやクリエイティブディレクターとして、多様な人や物事を巻き込んで、仕事をしていきたいです。いろんな条件をクリアした上で、より良いものがつくれるような、プロフェッショナルなデザイナーになるのが夢です。

また近い目標としては、広告賞などで賞を獲ることです。社内では、社員の社外賞への応募が奨励されていて、様々な支援を受ける事ができます。なかでも、原社長や大黒さんから直接アドバイスをいただける「講評会」はとても貴重な経験です。仕事をしながら、自主的に感性を鍛える機会を持っても良いというのは僕にとっては嬉しい限りです。

             

(インタビューは2017年5月に行われたものです)

WORKS

トヨタ自動車株式会社『Vitzカタログ』アートディレクション・デザイン
トヨタ自動車株式会社『Vitzカタログ』アートディレクション・デザイン
トヨタ自動車株式会社『アルファード特別仕様車カタログ』アートディレクション・デザイン
「三井寺鐘みくじ」アートディレクション・デザイン
ゆるキャラ 三井寺広報僧「べんべん」アートディレクション・デザイン
ロゴデザイン

PROFILE

プロフィール画像
グラフィックデザイナー
嶋口智洋

1987年、滋賀県大津市生まれ。2010年、成安造形大学グラフィックデザインクラス卒業。大阪、京都の事務所を経て、日本デザインセンター入社。主にトヨタ自動車のカタログ制作を担当。

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