成安造形大学
2018年、春 情報デザイン領域始まる。
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情報デザイン領域

グラフィックデザイナー 佐藤大介

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  2. SCENE 2
  3. SCENE 3
イラスト
SCENE 1

グラフィックデザイナーとして、独立してやってみたい。

大学を卒業した後、大学でお世話になった先生のデザイン事務所で働きましたが、そこで同期だった方が同じくデザイナーとして比較的早い段階で独立したんです。その人の話を聞いたりしていたので、私自身も早くから独立したい思いがでてきたのかもしれません。色々と大変なことがあるとは思いましたが、身近に独立した方がいたので、自分でもできるのではないか、いつかひとりでやってみたいと思うようになりました。

グラフィックデザインを仕事にしたいと思ったのは、遡って学生の頃。もともと映像に興味があったので大学には映像クラス志望で入ったのですが、1回生のときに映像、写真、イラスト、グラフィックの4つを学ぶ機会がありました。いろいろな授業を受けたうえで、映像よりグラフィックの方に興味がでてきたので、グラフィックを専攻することに決めました。当時はあまり業界のことも知らなかったですし、こうなりたいという具体的なイメージが無かったということもありますが、グラフィックだと自分の考えたものがカタチになりやすいと思ったのと、ひとりでつくりこんだり没頭できそう、というところに魅力を感じました。

最初に勤めた事務所を退職後、印刷会社勤務を経て、広告代理店でアートディレクター、デザイナーとして5年間勤めました。会社員時代は、不動産、フィットネスクラブ、写真館、学校、飲食関係など様々な業種のお仕事に関わらせていただきました。特に一番長く勤めた広告代理店では、撮影ディレクションや、アートディレクションを経験。ビジュアル表現はもちろん大切ですが、なぜこのデザインなのか、何を伝えたいのかという、企画やコンセプトの重要さを学びました。交通広告など露出の多い仕事を経験させていただいたことも新鮮でやりがいがあり、仕事はとても充実していましたが、独立したいという思いは強く、27歳の時に退職し、フリーランスのグラフィックデザイナーとして独立しました。ひとりでやってみて通用するのか、自分の実力を試してみたいという気持ちもありました。

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イラスト
SCENE 2

人と人とのつながりで、広がる仕事。

独立して最初の頃は、前職までのつながりから、学校関係の仕事やウェブサイトのデザインなどをメインにしてました。オフィスは先に独立していた、デザイン事務所時代の先輩の自宅兼事務所を間借りさせてもらうところから始まり、半年後には今の肥後橋のオフィスをその先輩と一緒に借りることになりました。

最初のころに印象的だった仕事で御舟かもめの仕事があります。御舟かもめというのは、大阪の川をクルーズする小さな観光船です。オーナー兼船長さんから、仕事を始めた頃の話や、独自の視点で考えられたクルーズコースの話など、いろいろお話をうかがい、なんだかとても面白い人に出会った印象でした。

はじめにイラストを使って船を紹介したいという相談を受けました。知っているイラストレーターさんにお願いしても良かったのですが、船長さんの思いを聞き、ベストを尽くし、良いものに仕上げたいと思っていたので、船長さんが好きな本の著者兼イラストレーターさんにダメ元で連絡してみたんです。すると、御舟かもめにとても興味を持っていただき、遠方だったのですが、実際にお会いすることもでき、イラストを描いていただけました。それがとても嬉しかったんです。面白い仕事や生き方をしている人の周りには、同じように魅力的な人が集まって、協力しあったり、一緒に面白い仕事ができる。そんなことを感じました。

最終的に、御舟かもめのウェブサイトやパンフレット、名刺、DMなどのデザインをさせていただいたのですが、その後、大阪の手ぬぐいブランドにじゆらとのコラボ手拭いもデザイン。会社員時代は、営業さんや広報担当の方など、いろんな人が関わって仕事をすることが多かったので、1対1でコミュニケーションしてつくっていくことに、責任も感じましたがとても新鮮で楽しく感じました。仕事の充実感にもつながった気がします。

ちなみに、その後にじゆらから別の仕事で箕面ビールとのコラボ手拭いのデザインを依頼してもらいました。また、御舟かもめの撮影を担当していたカメラマンとは別のお仕事をさせていただき、さらにその仕事から近所の活版印刷所さんのウェブサイト制作の仕事にもつながりました。つながりがまた次の仕事につながっていくのは、フリーになってからの方が多かったと思います。

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イラスト
SCENE 3

相手の世界を十分に理解しつつ、さらに一歩新しい世界観を提案。

フリーになって6、7年経ちますが、少しづつ仕事の幅も広がってきて、好きな仕事に出会うことも増えてくるようになりました。

最近だと、国立民族学博物館の「ビーズ展」のデザインです。みんぱくはもともと好きでよく足を運んでいたので、この話をいただいたときは特に嬉しかったですね。みんぱくの方たちが、とにかく楽しそうだったのが印象的でした。世界各国の衣装や装飾品、器や楽器など、知らない人が見たら何かよくわからないものにまで、すごくパワーをかけて研究されているわけです。ビーズ展の担当教授と話した時もすごい熱量で、「こんな面白いものがあって」「現地ではこういう意味があるんです、すごいよね?」みたいな話をうかがったあとに、「じゃあ、デザインは佐藤さんの好きなようにして欲しい」と。プレッシャーではあるけど、良いものをつくろうとやる気が出ました。

展示資料を見せていただいたのですが、スズメバチの頭部、ピラルクの鱗、クジラやジャガー、人の歯、ダチョウの卵の殻といったものをビーズにしてつくられた装飾品など、インパクトがあって見た目にも魅力的なものばかり。そこで、資料を素直に見せることがこの展覧会の魅力を一番伝えることになると思い、実際の資料を並べ、天井から俯瞰で撮影し、中央に展覧会タイトルをレイアウトするというシンプルな考え方でデザインしました。データ上で資料の拡大縮小率は変えず大小の関係は保ち、並んでいる様子をリアルに感じてもらえるよう意識しています。僕自身が民族的なものを好きというのもありますが、まずはやっぱり面白い人に出会う仕事が直感的にも面白い仕事になる場合が多いです。

あとは、私の兄が昨年京都で始めた、カレー屋のビジュアルデザインです。インド料理をベースに、オリジナルで自分の好きなカレーやスパイス料理を出す店で、お店の内装も壁をピンクと青に塗るなど自分の好きな空間をつくっていました。ですので、デザインは一般的なカレーやインド料理屋のイメージではなく、この店の雰囲気に合った、オリジナリティのあるものにしたいと考えました。情報を整理して伝えやすくと普段の仕事では考えるのですが、そういう事よりも単にかっこいいものつくってみようという発想でつくり始めました。といってもビジュアルコンセプトは必要なので、「タイでアメリカ人が和食のお店を出したみたいな雰囲気、現地の人が日本語を組んでみたようなちぐはぐな雰囲気で」と、普通の仕事だったらなかなか受け入れられなさそうなコンセプトを立てて、ビジュアル化しました。自分が好きな世界を楽しんでできたことで、デザインの幅が広がった気がします。

ちなみに、今見ていただいてるこの情報デザイン領域のウェブサイトは私がデザインさせてもらいました。記事の挿絵に、写真ではなくイラストを使用し、背景やページが切り替わる時など、イラストを引き立たせるカラーリングでデザインしました。

私が考えるグラフィックデザイナーは、裏方で良いし裏方でないといけないと思っていますが、提案したことが表舞台に出る仕事です。相手の世界を十分に理解しつつ、さらに一歩新しい世界観を提案できることが大事。案件ごとに違いますが、そのバランスを詰めていくやり取りがまた楽しいですね。

             

(インタビューは2017年5月に行われたものです)

WORKS

国立民族学博物館「開館40周年記念特別展 つなぐ かざる みせる ビーズ」アートディレクション・デザイン
「スパイスカレームジャラ」フライヤーデザイン
JAGDA OSAKA『BODYWORK』アートディレクション・デザイン
windmill『calendar』アートディレクション・デザイン
学校法人京都成安学園 成安幼稚園「せいあんようちえん Website」​アートディレクション・デザイン
「御舟かもめ パンフレット」アートディレクション・デザイン

PROFILE

プロフィール画像
グラフィックデザイナー
佐藤大介

1982年、鳥取県生まれ。2005年、成安造形大学印刷クラス(グラフィックデザイン)卒業。広告代理店勤務を経て独立。2012年株式会社サトウデザイン設立。全国カレンダー展(2014年)「金賞・国立印刷局理事長賞」受賞。Gregor international calendar award 2015「Bronze prize」受賞。日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)大阪地区幹事。
https://www.sato-design.jp

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